ライドシェアサービスが解決している課題について考えた

今回は、両社のサービスの違いや株価について書いていません。ライドシェアリングサービスは、車社会が生んだ課題を解決している。だからこそ、ライドシェアリングサービスを提供する企業がIPOを果たした。そう改めて実感したので、その気持ちを整理するために書きます。

ライドシェアリングサービスの現在

ライドシェアサービスとは、アプリ上で、ドライバーと利用者をマッチン グするサービスです。ライドシェアサービスが話題になったのは5年以上前でしょうか?2019年は、普及した結果として『Uber』『Lyft』ともにニューヨーク証券取引所に上場(IPO)しました。同時に、運転手が乗客を暴行する事件が発生し、社会問題化され株価にも大きく影響を与えました。

最近では、コロナウイルス感染症の問題もあり、各社が相乗りサービスの一時停止を発表しました。

ライドシェア専用乗降場所によって、位置情報精度の課題を解決している

サンフランシスコ国際空港には、『Ride App Pickup/Drop Off Zone』がある

米国のライドシェアリング企業である『Uber』『Lyft』を利用する以前から、中国では『DiDi(滴滴出行)』を利用したことがあります。また、シンガポールでも同様のサービスを利用したことがあります。なので、ライドシェアサービス自体に新鮮さは特別感じませんでした。

しかし、サンフランシスコ国際空港に到着して驚きました。『ライドシェアサービス専用の乗降スポット』が公式に用意されていたからです。

位置情報の精度は通信環境に依存する

ライドシェアサービスは、ユーザーのスマートフォンが保持している位置情報データを元にして、乗降場所を設定します。しかし、通信環境が悪い場合はユーザーが想像している現在地とスマートフォンがプロットする現在地がズレてしまうケースがあります。

頻繁に訪れる場所であれば、周辺の店舗や道路をヒントに、ユーザーは正しい現在地にピン(乗車希望場所)をずらすことができます。しかし、土地勘のない場所だとピンの設定をミスしてしまい、その結果、ドライバーを捕まえることができないケースもあります。(この場合、評価が低くなったり、乗車費用が高くなったりする)

ライドシェアサービスに使われるデータは新鮮な位置情報データ(リアルタイムに収集されたユーザーとドライバーの緯度・経度情報)が鍵を握ります。「実際のあなたの現在地とスマートフォンが示している現在地が一致しません」と指摘してくれるAIなんてありませんから、空港のような『土地勘のないユーザー』のために専用の乗降場所があることは、社会インフラとして浸透している証だと感じました。

相乗りサービスによって解決される課題

相乗りサービスとは「一人のドライバー(車両)に対して複数人のユーザーが同時に利用する(相乗り)」サービスです。このサービスを実現するためには、危険なユーザーが同乗しないスキームを作ることはもちろんのこと、『巡回セールスマン問題』で有名な『組み合わせ最適化アルゴリズム』をリアルタイムに実装する技術力が必要です。

巡回セールスマン問題(じゅんかいセールスマンもんだい、: traveling salesman problem、TSP)は、都市の集合と各2都市間の移動コスト(たとえば距離)が与えられたとき、全ての都市をちょうど一度ずつ巡り出発地に戻る巡回路のうちで総移動コストが最小のものを求める(セールスマンが所定の複数の都市を1回だけ巡回する場合の最短経路を求める)組合せ最適化問題である。

巡回セールスマン問題 – Wikipedia

ユーザーにとっては、一人で一台の車両を独占し目的地に向かうコストよりも、相乗りサービスを利用したコストのほうが安くなるため、ユーザーは『多少移動時間が長くなるが、交通費が安くなる』という選択ができます。

ライドシェアサービスは、ぼったくりタクシーの被害を撲滅するソリューションではあるものの、移動にかかる費用を直接的に安くするソリューションではありません。ですから、『組み合わせ最適化アルゴリズム』を実装することによって、自社のライドシェアサービスに対するユーザーの悩みを解決したと言えるでしょう。

交通渋滞やCO2排出量問題を解決している

(視野の狭さをディスられたことで始まった旅ですから)視座を上げてマクロに考えてみると、相乗りサービスは、1車両:N人のユーザーを実現しています。ですから、1道路あたりの車両数Nを減らすことが可能です。ドライバーにとって収入面で問題は起こりそうでしょうか?恐らく大きな問題ではないでしょう。これはビジネス職による最適な価格設計で解決できるはずです。

相乗りサービスの社会的なインパクトは「1道路あたりの車両数Nを減らすことを実現した結果、「交通渋滞やCO2排出量」についての社会問題を解決できていることです。

自動車の価値が「移動手段」という道具から、消費者の所得が増え「趣味・嗜好品」に変化したとき、自動車は「地球環境を悪くしてしまう」「交通渋滞の発生数を増やす」ことで「1人あるいは1家庭1台の車社会」を実現しました。消費者目線で考えれば、所有欲を満たせます。また、自動車メーカにとっても販売台数を増やせます。販売台数を増やせば売上高は伸びるため、企業価値(株価)が上がります。

当初、私はライドシェアサービスは「ぼったくりタクシーによって被害を受ける観光客」や「車がないと移動できない地域に住んでいるけど、車を買うことができない市民」を救うために存在していると考えていました。

しかし、自動車メーカーが販売台数を優先することによって、あるいは、消費者が所有欲を優先したことによって生まれた「渋滞による移動時間の非効率化」という課題を解決している点が、今の時代にマッチしているのかなと思うようになりました。この課題は、所有欲優先で全体の移動効率を無視した結果です。

自動車メーカーは販売台数をKPIにしています。しかし、販売台数が増加した結果生じる交通インフラの課題について、ソリューションを提供していないように感じます。(渋滞情報をカーナビで知らせるサービスくらいなら思い浮かびます)これは、やはり自動車メーカは『製造業』であり『サービス業』として交通のエコシステム(より多くの人が幸せになるための効率化された循環型の仕組み)を作っていなかったから、でしょうか。

improve people’s lives with the world’s best transportation.

この文章は米国「Lyft(リフト)」のミッションです。日本語に翻訳すると、「世界最高の交通サービスで人々の生活を改善する」という意味になります(多分)

Lyft’s mission is to: improve people’s lives with the world’s best transportation.

https://investor.lyft.com/ より引用

『乗る喜び』『乗り心地』といったドライバー視点のニーズを追求して自動車を作るメーカーとは明らかに見ている視点が違うことに気付かされます。

誤解を与えないようにしたいので補足すると、私はお金があればカッコいいと思う自動車を所有したい20代です。時間があればドライブだって沢山したいです。日本の自動車メーカーの車が海外で走っている姿をみると、自分がその自動車を作ったわけでもないのに、勝手に日本人であることを誇りに思うくらいです。

「今更ライドシェアサービスについてかよ!」という感じですが、『ガソリン車か電池自動車か』といった自動車の開発手法とは別に、車社会になったことで人々の生活には別の課題(車体価格と所得の不均衡・交通渋滞など)が生まれていて、特に、ライドシェア(相乗り)サービスは、真摯に向き合うメーカーがいなかった(少なかった?)移動時間の非効率化が進んでいる車社会の課題をピンポイントで解決したサービスになっているんだなと思ったのです。

『同じ領域にいるが、他人はあまり気づいてない、あるいは真剣に取り組んでいない課題』に対して取り組むことで、自分も役に立てる場所を見つけることができるのでは!と勝手に勇気をもらいました。新規サービス開発関連の書籍によく書いてあるものの腹落ちしていなかった部分が腹に落ちた感じです。

アメリカに行ってきました

昨夏、成功した起業家の方にお会いする機会がありました。そこで、「世界を視野に入れていない起業家、特に20代で視野の狭い若者には投資しない」といったお話を伺い、悔しい気持ちになりました。その気持ちをどこにぶつけたら良いのかわからなかったのですが、気づいたらアメリカ行きのチケット買っていました。当時は、ナニクソと思っていましたが、今思えばこのタイミングでアメリカに行けてよかったと思っています。

旅の目的

自分が考えている事業アイデアのフィードバックや先進事例を調べることが旅の目的の一つです。まだ、シンプルな一言で表現できないでいますが、データ分析・AI開発領域において感じている課題があり、その課題は日本特有の課題か?アメリカでは既に解決されているか?などを旅を通じて、自分なりに検証したかったのです。

また、視野を広げるためにどうしたらいいのか考えていると、そもそも視野が広いとはどういうことか?を考えてしまい、いつまでたっても視野が広がりそうにありませんでした。なかなか苦労して貯めたお金で旅行に行くため、一般的な観光だけでこの旅を終わらせることだけは避けたいと思っていました。

なぜ、アメリカか?

データ分析・AI開発においては中国にも注目しています。しかし、私は学生時代に中国留学経験があり、社会人になってからも中国に出張へ行く機会がありました。ですから、中国のテック事情は何となく肌で体感できている実感があります。一方、アメリカは学生時代に留学したいと思っていました。しかし、留学費用が高額なのであきらめました。そして、奨学生として留学できる中国を選びました。

また、シリコンバレーが話題になって何年も経っていますが、やっぱり自分の目で見てみたいと思う気持ちが抑えられなかったことも大きいです。

旅の期間と予算

期間

15日間(約2週間)

予算

航空券の費用を含めて最大50万円に収まるようにしました。日本からアメリカまでの往復航空券は約15万円です。節約する方法もありましたが、時間を優先し直行便を購入しました。また、往路は『日本→サンフランシスコ』復路は『ニューヨーク→日本』というチケットを買ったため、アメリカ国内移動が必要でした。その移動費用は10万円未満に収まるだろうと見込み、残り30万円です。滞在日数14日間なので、一日約20,000円(交通費・宿泊費含む)の予算を設定しました。

旅の気づき

ほぼ毎日初対面の人と会っていました。なので、インプットが想像以上で、アウトプットが間に合っていません。今は忘れないように箇条書きでタイトルだけ書いておきます。

  1. DAY1 ライドシェアサービスが解決している課題について考えた
  2. DAY1 安くても惨めじゃない
  3. DAY2 「ゆるさ」が市場を大きくする
  4. DAY3 スタンフォード大学
  5. DAY3 テックカンパニーツアー
  6. DAY4 強みの強さと寿命を考える
  7. DAY4 シリコンバレー起業家(会社と経営者自身の永続性 – 日本人起業家との出会い)
    1. 中間層はどこも苦しい – サンフランシスコ
  8. DAY5 起業とヒーロー思想 – San Mateo
  9. DAY5 シアトルへ行く前にインポッシブルバーガー – DMM英会話
  10. DAY6 マイクロソフト
  11. DAY6 地域と企業 – Seattle スターバックスコーヒー
    1. コワーキングスペース所感 – SFダウンタウン
    2. 社員食堂
  12. DAY6 フリーミアムモデルの本質 – Seattle Tableau
    1. 個人主義的集団と集団主義的個人
  13. DAY6 Amazon go – 無人レジ
  14. DAY7 日系企業と現地スタートアップ – zoomと日本人
  15. DAY8 ゴールデンゲートブリッジとピア39
  16. DAY9 これからのキャリア – シリコンバレーエンジニアとの出会い
  17. DAY10 ジョンエフケネディ空港が怖い。いざ、ニューヨークへ
  18. DAY11 遅刻もコンテンツ – BLUE MAN
    1. ステーキと日本人
  19. DAY12 外国人起業家に会ってみた – SLPネットワーク
  20. DAY13 歴史 – MoMA, メトロポリタン美術館
  21. DAY14 日本企業の広告は、ない – タイムズスクエア

20代のうちに行ってよかったと思えたのは、アメリカでしか会えない人を紹介してくださった方とアメリカで会ってくれた人たちのおかげです。本当にありがとうございました。そのお礼の気持ちを忘れないように、自分が吸収できたことは、このブログにアウトプットする予定です。

DAY4 トヨタとテスラ

サンフランシスコはテスラ・モーターズ(以降、テスラ)が10台に1台くらいの頻度で見かける。(ちなみに、ニューヨークでは全く見かけなかった)テスラの急成長と比較されるのがエンジン車のトップメーカーであるトヨタである。このトヨタとテスラの企業成長の比較についても勉強になるお話を聞かせていただいた。

サービスはステークホルダーとともに成長する

サービスを作るときに考えるときに、市場の大きさ・成長率をよく考えたほうがよいと言われる。市場の大きさは客数の大きさでもあり、客単価の大きさでもあるからだ。

同時に、「なぜ、市場は大きくなるのか?」を考えたときに、1つの商品やサービスに対して、いくつの商品やサービスが付随してくるか?も大事な視点であることを学んだ。例えば、トヨタが提供するガソリン車が普及するためには、石油業界の協力が必要不可欠である。

トヨタは庶民が手に入れやすい価格でガソリン車を提供したことが、自動車普及につながったといえば、それが理由の全てではない。安くて品質の良い車を作るだけでは、世の中に普及しない。同時に、ガソリンを給油する場所が全国各地に増えていくから、自動車が普及する。

しかし、石油を使った商品によって引き起こされた環境問題の影響で、自動車メーカーは環境に良い自動車の開発を進める。そうして生まれたハイブリッド車の1つであるプリウスは世界的に人気の自動車になった一方で、ガソリンスタンドを減らす原因の1つになったとも言える。

環境問題は解決するかもしれないが、ともに自動車市場を大きくしてきた石油業界の川下であるガソリンスタンドは大きく縮小している。実際に、日本には平成29年度末時点で30,747店のガソリンスタンドがある。これは平成元年の58,285店なので、約30年間で半分近く減っている。(ガソリンスタンドの貯蔵タンク改修が高額であるという理由や法律改正も影響している)

ステークホルダーがいるから死ぬのか、いないから死ぬのか

営業網についても同様だ。トヨタは販売代理店の協力があって、自動車を全国各地のユーザーへ販売できている。一方、テスラはトヨタのような営業代理店を持っていない。直営店のみである。テスラの急成長の理由の1つには、決めた戦略を実行するまでのスピードが早いことがある。これを実現しているのは、ステークホルダーが少ないことが大きく影響しているだろう。(お金持ちが環境問題に関心があるというブランディングをしたくてプリウスを買っていたが、ダサいのでカッコいいテスラに乗り換えた。そういうニーズがあった。という話もあるが、割愛する)

「トヨタが勝つのか?テスラが勝つのか?」に話を戻す。ステークホルダーが多いと、実行スピードは遅くなってしまう。しかし、トヨタが負けると困る業界がたくさんあるということは、困る業界はトヨタを助ける可能性が高いとも言える。逆に、テスラにステークホルダーが少ないということは、テスラがピンチのときに助ける理由のある業界もすくないということである。この話がとても面白かった。

ガソリンスタンドを経営する人の自己責任といえば自己責任なのかもしれない。しかし、ガソリンスタンドによって自分の商品が広くユーザーに届いていることの重要性を認識していれば、自分の商品によってガソリンスタンドが給油サービス事業以外で収益の柱を作れる事業を作ってあげれば、トヨタが電気自動車に完全シフトしたとしても、石油業界はトヨタを応援し続けてくれるのではないか。そんなことを想像した。

ステークホルダーが多いことは世の中や組織を複雑にする。これはビジネスというよりも、エコシステムの話なんだと気づいた。エコシステムは複雑であればあるほど、使い方によってはとてつもないパワーになる。市場の大きさは顧客数の多さと相関するのであれば、関係者という人の数は成長のパワーになる。また、そんな彼らが「これを維持しよう。成長させよう。」と考えるのならば、そのパワーは何倍にもなる。

気づき・学び

テスラの魅力の1つは、自動車メーカでありソフトウェアメーカであることだなとも思った。ソフトウェアによって自動車に組み込まれたモータの性能を自動制御しているため、車体価格に関係なくメーカー側でアップデートすることが可能だ。自分はソフトウェアまで内製化していることによって、アップデートが可能な自動車にしたことが大きな魅力であることを初めて知った。実際に、災害にあったときはすべての自動車のモータの性能のリミッターを解除できるらしい(したことも会ったのかな?忘れた)

ただ、今回については自分がサービスを作る上で、

  • 自分のサービスが誰を助けるのか?だけでは、エコシステムにはならない。
  • 自分が提供するサービスは誰によって大きくしてもらえるのか?
  • ステークホルダーがいることによって機動力が下がるリスクが大きいか?

といった、自分のサービスを作るだけでなく、自分がどんなエコシステムを作れるのか?作りたいのか?を考える必要があると思った。

DAY4 強みの強さと寿命を考える

4日目からは当初の予定どおり一人での旅行。午前中に初めて泊まったAirbnbをチェックアウトし、タクシーでとある日系企業のイノベーション施設に訪問。

写真撮影はNGだったこともあり、写真は特に残していない。また、3日目からはツアーではない個人的な訪問であり、ご厚意でお話いただいたことがほとんどである。自分のなかでずっと残しておきたいことを少しだけ抽象化して残しておくことにする。

美味しいハンバーガーをご馳走になった。ありがとうございました。

大手日本企業の戦い方を知る

視野を広げるにあたって国内スタートアップだけでなく大手日系企業の海外での戦い方を知りたいという気持ちが強くなった。昨年、大手企業の方と一緒に仕事させていただく機会に恵まれ、グローバルに事業を展開するときの考え方を教えていただいたことをきっかけに関心を持つようになったからだ。

自分は一部上場企業に新卒入社したものの、グローバルに展開する日系企業で働いた経験がなかった。新卒でこうした企業に入社した同世代は、関わっている仕事のスケールの大きさを自慢することも多く、少し鼻についていた。一方、一人に任せられるマーケティング予算の規模やインパクトは中小・中堅企業とは比較にならないことも事実だった。

今回、大手日系企業のお話を伺えたのはたまたまなのだが、紹介してくれた友人はもちろん、初対面にも関わらず色々なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。本当に感謝しています。

強みの強さと寿命を考える

大手日系企業というだけあって、市場に浸透している強みがある。だからこそ、彼らが考えていることは「その強みでどこまで生き続けられるか」ということだった。

学生であれば就職活動をきっかけに、社会人になっても転職やキャリアアップを考える際に、「自分の強み」を考える機会がある。マーケティングを学んでいれば、SWOT分析もそうだ。ただ、自分の場合は強みを考えるときに、現時点の自分の強みが永遠に続く前提で考えていたことに気付かされた。

深く考えてみると当たり前ではあるが、自分の強みの強弱は発揮する場所・環境によって大きく左右される。また、現在における強みの「強さ」と未来における強みの「強さ」は異なる。

身近な実体験で考えてみると、数年前にプログラミングを学んだときはフロントエンドはHTML, CSS, JavaScriptを学べば十分だった。それだけでWebサイト構築の案件を受注することができた。(もちろん、それだけで生活はできなかったけれど。)

しかし、今では、学んだその言語自体はこれまで通り使われているけれど、記法が大きく変わった。異なる言語は異なるファイルで管理するほうが美しいというイメージだったが、異なる言語を1つのHTMLファイルにまとめて書くほうが美しいという流れになった。正直、今の自分はWebサイトをフルスクラッチで作成・構築する案件を受注できる自信はない。

自社の強みを技術にフォーカスせず、営業にフォーカスした

その企業は、一般的には「技術力がある企業」と思われているだろう。実際に、その企業名を伝えたら、誰もが「商品名と使われている技術」について話すと思う。しかし、実際には「営業網が強みである企業」として海外で企業買収を繰り返すことで売上を増やしている。新たな収益の柱を作っている。と言ったほうが正しいだろう。

この企業から学べることは、自分の現在の強みを無理に活かそうとしないリアリストなところだ。経営層は、現在の強みである技術ではなく、その強みを生かして創り出した商品を展開している市場の行く末を見ている気がした。前述の通り、強みは発揮する場所と時間軸によって、その強さが大きく変わるからだ。

これくらいビジネス書にも書いてあるだろうと意識の高い社会人は思うだろう。でも、実際にこんなに自分の強みを冷静に見られる企業や経営者、個人はどれだけいるだろうか。例えば、すでに営業経験が5年以上あるサラリーマンが営業職以外の職種に転職するだろうか。おそらく殆どは同じ業界や異業界同職種での転職がほとんどだと思う。

自分に強みがないのであれば、素直に環境に合わせて自分を変えていくことができる。新卒のときは、入社した企業の文化や仕事の仕方を素直に吸収できる。しかし、ある程度働いた経験のある自分が、冷静に未来を見つめて、自分をどれだけ変えられるだろうか。なかなか勇気が必要だし、自分の強みは永遠に強みであり続けると信じたい。

自分の懐具合にあった予算で、強みを買う

強みの強さが時間軸によって変わるのならば、急いで強みを手に入れる必要がある。手に入れる方法は、時間をかけて強みを作る方法と、お金をかけて強みを買う方法だ。

この企業は、お金があるからシンプルに資金勝負で勝ちにいくスタイル。これはお金持ちとしては正しい戦略だ。ここからの学びは、強みを発揮して成果を出すためには、お金よりも時間が大切だと認識することの大切さだ。

個人でキャリアアップや起業を考えると、やれ時間をかけて修行をしたがる。少なくとも自分は経験を積みたいと思ってしまうところがある。隠すことでもない、少し怖いからだ。修行することで俺は失敗しないという自信を得たつもりになって自分を満たす。

これは自覚していたから、副業で稼ぐというスタイルを辞めて独立した。しかし、勝ち方がわからないままアメリカに来ていた。しかし、この企業の話を聞いて大きな気づきがあった。

強みを買うという戦略も、更に大きな企業にシンプルに財力で負ける現実があるということだ。彼らは国内では名だたる大手企業の1つだ。しかし、彼の財力にも限界がある。例えば、Googleが同じ企業を買収しようとしたら、おそらくGoogleが買収し、彼らは買収できない。

つまり、この企業のすごいところは「自社の強みに執着せず、他社の強みを買う」という現実主義的スタンスではなく、「自分の懐具合にあった予算で、他社の強みを確実に手に入れる」という、身の丈にあった諦めの悪さにあると思った。

帰国後、自分の生活に支障がでない範囲(自分の懐具合にあった範囲)で、知り合いに業務を発注する決断ができたのは、この話を伺えたからだ。そうでなかったら躊躇して貯金ばかりしていて、自分の強みにもなり得ない強みを育てることに時間をかけていたと思う。

文化は買わない

また、特に興味深かったのは、M&Aを実施する際に文化を買わないということだ。買収先には、「その技術が世界に浸透することと、世界に浸透しないまま文化を守ること、どちらが大事ですか?」と聞くらしい。

文化を買わないというのは、買収先をリスペクトしていないという意味ではないと自分は解釈した。選択と集中の話で、自分が愛している強みで世界を豊かにすることよりも大事なことあるか?という覚悟の話なのかなって思った。

これはこれから自分がチームを作るときにも同じことが言える。自分はパワハラマネジメント被害者であると思ってるから、できるだけメンバーの意見は聞きたいと思っている。同時に、メンバーに対して、自分たちが作ったサービスで世の中を豊かにすることとメンバーそれぞれのこだわりを大切にすることとどっちが大切か?を追及できる勇気を、経営者は持っておくべきだなと思った。もちろん、自分に対してもそうだ。

DAY4の気づき

  • 強みの寿命を考える。強みを考えるときは時間軸が大切である。
  • 自分の強みの伸びしろには限界があるが、市場の成長はその伸びしろを超える。
  • 懐に合った買い方がある。すべては塩梅次第。

完全にたまたまなのだが、新しい業界(広義のAI領域、機械学習やデータ分析)に飛び込んだことは正解だった。結果的に、自分の強み(せっかく入社することで得たキャリアなど)が強みならないことを認識して、独立した結果、強みになっていないけど市場は伸びているから、生きていける状態になった。

また、市場の成長を優先すると不思議と強みが生まれることもある。自分の場合は、データサイエンティストのデータサイエンス力を武器に戦おうとしていたが、市場の成長に対して自分の勉強量が追いついていなかった。そのときに、データサイエンス力の代わりに強みになったのが、ビジネス力だった。

さいごに、一人でなんとか食っていける状態になったということは、「自分の懐具合にあったお買い物」ができるフェーズに入ったということだ。躊躇せず、だから、自分の目標をオンタイムで達成するために、買うべきものは何かを見極めていく。

お金の問題は本質的には問題じゃないと、学生時代に教えてもらったことを思い出した。

DAY4 シリコンバレー起業家

午後は、サンフランシスコの南から北へ向かう。1年前に独立したての頃に、ヤフーのコワーキングスペースで知り合った方に会うためだ。彼はサンフランシスコでサービス作りに尽力している。しかし、これまた都合が合わず、実際に会うことはなかった。

その代わり、同い年の起業家を紹介してもらった。彼とダウンタウンのカフェで会うことになった。

経営者になったからできる経験

今振り返ってみると、すごく安心して話せたなと思う。年上の方と話すことはそれはもう自分の視座を上げていただける話ばかりなのだが、MPを消費する。良くも悪くも気を遣ってしまうからだ。(それが悪いことだとは思っていない)

カフェラテを飲みながら、お互いの自己紹介をした。自分は「今時分が考えている事業アイデアの先行事例がアメリカにあるのか?」「自分が考えている課題は日本特有の課題か?アメリカにも同様の課題があるか?」を調べるためにアメリカに来たことを伝えた。もちろん、20代のうちにアメリカに行きたかったことや、ミーハーな気持ちだけどシリコンバレーを自分の目で見たかったことも正直に話した。実際そうだからだ。

彼はすごく厳しい経営経験をした。プライベートな話なので詳細を書くつもりはない。間違いなく言えることは、実際に自ら起業し、サービスを開発するためのリリースを確保し、ユーザーに提供することを通じてでなければ経験できない経験をしたということだ。

再び独立して4ヶ月も経った自分は、経営者としての経験として誰かに話せることが何もない。

彼にとって、その厳しい経営経験はかなりメンタルがやられる出来事だったので、いろんな本を読んだり、ゆっくり考える時間を設けて、最近過ごしているらしい。私はそれでいいと思った。

厳しい経験(あえてつらい経験と書きたくない)をした人こそ、経営者になるべきだと思ってる。そういう経験をした人とそうでない人でいえば、していない経営者ってパワハラマネジメントをしがちだからだ。厳しい経験をすればするほど、同じような経験をした人に対して優しく接することができる。だから、一度しか会ったことないけど彼は素晴らしい経営者になると思うし、もう一度経営者になってほしいと思ってる。

その時は、自分も必ず経営者として会おうと決めて、カフェをあとにした。

環境が人をつくる

日本でサービスを作りたいし、日本で生活したいと思っている。でも、中国やアメリカに行くと明らかに日本の雰囲気とは違う空気を感じる。「活気」が違う。うまく言葉に表せないのだが、会話を通して、その人が希望を持っているかどうかを感じることがある。日本ではそれを殆ど感じない。

別に日本に絶望しているわけではないので、起業家支援プログラムに参加させてもらったが、群がりたいというわけでもなく、スーッと話せるような出会いはなかった。参加しないよりはしたほうが良いとは思ったけど。日本のコワーキングスペースはザワザワしていてうるさい。自分は個室でこもって集中したいタイプだったので、そういう意味での環境が合わなかったと思う。

DAY4の振り返り

同じ日本人だけど、サンフランシスコで生活をしている人たちと話すだけで、頭の中がパンクしそうなくらい大きな気づきがあった。

「俺は日本のために日本でサービスを作るんだ。」と考えていたけれど、活気のある人達と仕事するほうが楽しいのは紛れもない事実だ。誰とやるかはとても大事だ。

また、日本にはお金のある人は少なくなっている。現状もう少ないだろう。不便でないけど豊かな国ではないんだ。お金のない人に対して商品を買ってもらうほど厳しいビジネスははいと思っているから、自分が作ったサービスは、海外で売れるサービスにしたいと思うようになった。

DAY3 スタンフォード大学

サンフランシスコに来た理由の1つに、「やっぱりシリコンバレーを見たい」というのがあった。サービスづくりにおいて、外側からテックカンパニーを眺めることに直接何の意味があるのか?と言われたら、あんまりないと思うけど、見たかったんだから良いじゃない。そういう感じだ。

友人家族とテックカンパニーツアーを予定しており、英語での会話も全部任せる(甘える)予定だったが、人生はそんなに甘くない。ぼっちでのテックカンパニーツアーが始まった。

スタンフォード大学

ホストはスタンフォード大学OGの女性だ。カッコいい黒塗りのBMWで若干遅刻しつつ迎えに来てくれた。向かった先は、スタンフォード大学。

大きな広場には、家族やカップルがピクニックしていた。ただ土地が広いからという理由だけではない、『開かれている』といった印象を持った。

そういえば、自分もほんの少しだけスタンフォード大学と接点がある。機械学習を学ぶときに、スタンフォード大学が提供する学習コンテンツを使って勉強した。

機械学習 | Coursera

東京大学も松尾研が無償コンテンツを一部提供しているけど、受講資格を課しており定員制限あったから受講できなかった。東京は会おうと思えば誰にでも会えるし、機会を手に入れられると思って上京したけど、少なくとも東京大学は開かれていなかった。

実は諦められなくて、松尾先生を出待ちした。運良く松尾先生に会うことができて「随分熱心な人がいるんですねぇ〜」とか言って、他の運営の人につないでもらったが、「資格がないなら、今後は二度と来ないでください。」と言われた。

まあ私が悪いんだが、AI人材とかいう人材を増やして、日本を豊かにすることが目的であり、そのために社会人向けに学習機会を提供しているのにも関わらず、「学ぶためには資格が必要だ。」とか言ってるのは未だによく理解できない。まあ突撃訪問した私が悪いんだが。

それで出会ったのがコーセラのスタンフォード大学が提供する「機械学習」の講義だ。英語音声を日本語字幕で学んでいくスタイルに慣れることができたので、今となっては結果オーライだと思ってる。

Hoover Tower

タワーからの景色

スタンフォード大学の景色を眺めるために、Hoover Tower(フーヴァー・タワー)に登った。フーヴァーとはアメリカ第31代大統領の名前に由来している。

個人的には、塔からの景色よりも一階にある展示物のほうが気になった。ベルリンの壁が飾ってあったのだ。彼のコレクションと経歴、そして妻の経歴について書かれた展示物が飾ってあった。フーヴァーは、フーヴァー戦争・革命・平和研究所という施設も建てている。スタンフォード大学の敷地内にあるものの、直接的に関係はないらしい。

彼は学生時代に、野球チームやフットボールチームの運営、クリーニング屋や講義仲介業の経営をしていたそうで、カネがないなら特待で入学して支出削減とアルバイト掛け持ちだ!とやっていた自分とはそもそも発想が違った。

ベルリンの壁の一部

興味深かったのは、スタンフォード大学自体は、上流階級が多かったものの、フーヴァーはあまり裕福ではなかったことだった。反骨精神があったのかな。2,000ドルに及ぶ自治会の負債を返すこともやっていたそうで、この部分は代わりに代表をやった学生団体に実は借金があって、それを返済した経験があったのでとても共感できた。

スタンフォード大学は、ブランドや名声がある大学だ。でも、そこに通う学生全員が裕福とは限らないし、裕福である状態を達成できた背景がある。改めて、ブランドや名声の奥にあるその人自身を見ないといけないなと思った。

コンピュータ・サイエンス棟

結論から言うと、ハッカソンがちょうど終わったところでグチャグチャだった。でも、ハッカソンが行われていた場所を生で見ることができる機会のほうが少ないのでラッキーだった。

自分はエンジニアではないけれど、プログラミングスクールに通って少しだけプログラミングできるようになって、ハッカソンに参加したことがあるので、同じような経験を日本でできていた。だから、勝手に自分で自分を誇りに思った。勝手に。

Stanford Engineering Heros

名だたるOBOG

スタンフォード大学在学中・卒業後に創り上げたサービスで成功を収めたOBOGのプレートが飾ってあった。セルゲイ・ブリンはもちろん、ネットフリックスのリードヘイスティングスもスタンフォード大学卒だったとは。(全然知らなかった)

前例があるとなんだか勇気がもらえるので、在学生は本当にコンピュータ・サイエンスの勉強と研究に熱中できると思った。自分は一流大卒ではないので、OBOGのつながりもない中、就活も苦労した。今でこそ、大学に通う必要性はないという意見もある。オンラインで学習はできるが、コミュニティはかけがえのないものだから、大学はコミュニティの1つとしてはこれからも大切な場所だと思う。議論や発散ができない孤独な学びって辛いからな。

Google Storage Server

大学に行くと、自分の大学生活を思い出してしまう。アルバイト・インターン、留学、学生団体いろんな経験してきたから後悔はないし、本当に楽しかった。でも、学んだことに対してディスカッションができる講義とか教授と議論しながら研究を進めるとか、そういうのせずに社会人になってしまったので、スタンフォード大学に訪問することで、経営者になりたいけど、大学院にも行きたいなーって思ってしまった。

どちらかを選べと言われたら、まず仕組みを作り収益を上げるサービスを作って組織で運営していくことだ。それが達成したら、研究っていうやつをやってみたい。

DAY2 「ゆるさ」が市場を大きくする

体調は絶不調。二日目にしてAirbnbに一人引きこもる。しかし、日本での仕事は残っているので寝ている暇はなかった。今振り返ってみると、旅行中だけじゃなく今年一番きつかった。

この二日間の支出の半分は薬代だった気がする。ヤクルトかヨーグルトを飲んで、オレンジでビタミンCを補って、活動前にユンケルをブチ込みさえすれば何とかなると思っている。けれど、3日目以降は人と会う予定がぎっしり詰まっているので、さすがに薬を買いに行った。

Google翻訳の画像内テキスト翻訳は有能。

フリーランスになっても、少々過労気味だったことが原因だと思った。精神でガーッと仕事に集中するタイプなので、身体が追いつかないことが多くなっている。最近の悩みだ。

過労といっても、仕事がつまらないわけじゃない。むしろ、とても充実している。原因は、プライベートでやることとの両立に神経をすり減らしてしまっていることだ。一方、自分と同年代で結婚して子宝にも恵まれている人がいる。彼らは働きながら夫婦関係、子育てを両立している。そんな姿を見ていると、本当に尊敬する。

ベッドで寝込んでいると、すごい悔しい気持ちになった。私は大学時代にも交換留学をしていたので、一般的には、海外旅行経験のある数少ない学生の部類に入ると思う。それでも、もっと経験できたことがあったんじゃないか?と思うくらい、アメリカ旅行に夢中になれない自分の状況にイライラした。

学生時代の留学は、特待生だったので渡航費以外の授業料は全額免除だった。さらに、政府からの奨学金もいただけたので生活費にも困らなかった。(学生団体やインターンもしていたので、結局、生活費には困った。)何かに熱中したいときは、支えられている環境が必要だよなと思った。

それでも、2020年に旅行したからこそ意味があったことがある。Airbnbを使っての宿泊だ。

ホストとの会話も刺激的なAirbnb

旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの – BRIDGE(ブリッジ)

コロナの影響で、レイオフするようになったAirbnb。日本にいるときは使う機会がなかった。創業当初のピッチ資料を見たこととがあるくらいだ。Airbnbのおかげで宿泊費用が抑えられただけじゃなく、現地の人とのコミュニケーションができた。自分のアメリカ旅行がすごく刺激的なものになった。

Airbnbを使って、私もホストになりたいと思ったの。

このあと、急遽シアトルにも行くことになるのだが、そこでもAirbnbを利用した。そこのホストは「Airbnbを使って、私もホストになりたいと思ったの。」と話していた。これがすごく印象に残っている。

自分がそこに住んでいるからこそ知っている、おすすめのローカルな飲食店の紹介。貸してくれている部屋の説明。そこにホスト側のストーリーがあった。その部屋は、自立した子供の部屋、元子供部屋だった。だから、クローゼットには小さい頃に使っていたおもちゃやアルバムが置いてあったし、壁には家族の写真が飾られていた。

ホテルでは絶対に味わえない何とも言えない感情になった。自分はシェアハウスは苦手だし、不潔な部屋には絶対に住みたくない。だから、当初はAirbnbを利用することも躊躇した。でも、結果的に一般的なホテルよりも清潔だった。

ホテルでは味わえない、なんというかホスト側のストーリーがあったり、地域住民の生活を感じられる体験は自分の中で明らかにイノベーションだった。

ゆるいホスピタリティが市場を大きくする

ホスピタリティについては、ホテルよりは完璧じゃない。「あなたが泊まっているとき、私はヨーロッパに旅行中なの。だから返信は遅れるわ!」というホストもいたし、チェックイン時点で「ははは。ちょっと洗濯機だけ借りてるよ。」と言って、22時過ぎまで部屋に居座るホストもいた。お詫びに冷蔵庫のなかのシャンパンを開けてくれた。(そんなに飲みたいとは思ってないけど、ありがとね。)

私は、この「ゆるいホスピタリティ」すごく良いなと思った。「ホスピタリティが完璧でないこと」をユーザーが許容できると、宿泊業に対する参入障壁を下げることに繋がる。これがAirbnbが変えたユーザの価値観なのかもしれない。

Airbnbはホテル業の競合だろう。ホテルに泊まらずAirbnbを利用した自分自身がその証拠だ。けれど、ホテルを使う機会をつくる「旅行市場」を大きくするために、貢献しているとも言えるのではないか。そう思った。

ゆるくやることの悪い面は、品質が完璧でないこと。その結果、嫌な気持ちになるユーザーも一定数いると思う。でも、ゆるくやってくれるサービス提供者がいないと市場は大きくならない。Airbnbを利用して、そう考えるようになった。

ゆるいサービスに対して、完璧でないサービスに対してクレームをするユーザーは、市場を大きくして社会を豊かにしたもらえる機会を自ら無くしてしまっているように思えてきた。

特に日本の配車サービスはそうだろう。もし、地震が起きて公共交通機関が使えない状況になったときに、政府は配車サービスを提供できない。車を持っている人たちだけが避難できたり移動できたりするんだろう。しかし、UberやDiDiのようなサービスを本格的に個人にも広げていたら違うソリューションが見えてくる気もする。

評価値データ収集をユーザーが催促できる仕組み

評価についても、チェックアウト後に評価の催促メッセージが来る。評価が低いと予約数が減り、収益が悪化するからだ。いわゆる評価経済がしっかりと機能しているサービスだった。

レコメンドアルゴリズム構築の依頼案件は意外と多い。技術的には新しいものではないけれど、ビッグデータを使ったサービスの最適化手法の1つとしてはやっぱり秀逸だからだ。ただ、レコメンドアルゴリズム構築に必要な評価値データというのは難敵で、いつも苦労する。だいたい上手くいかない。評価値データを短期間で大量に取得できないからだ。データサイエンスをかじった程度だと、クライアントに対して「評価値データが集まってからの実装ですね」という力ない返答になりがちだ。

しかし、Airbnbのように「評価値データを取得する動作をユーザー自身にさせる設計」まで考えることができれば、力強いデータサイエンティストになれると思う。

DAY2の気付き

  • 何かに熱中したいときは、しっかり支えてもらうことも大事だと改めて実感した
  • 市場全体を大きくするのであれば、完璧でないサービスにも価値があると学んだ
  • データ収集方法について深く考察できる、UXを設計できるスキルを積もうと思った

DAY1 安くても惨めじゃない

サンフランシスコ(以降、SF)の前半数日間は友人家族と一緒に過ごす予定だった。しかし、都合により自分一人で過ごすことになった。SFは天気が本当に良い。過ごしやすかった。FacebookやAppleといった世界的に展開するサービスを提供する企業がこの地域に本社を構えている理由はわからないけれど、年中こんなに過ごしやすい気候だったら、自分もこんな地域にオフィスを構えたい。そう思った。

Abnbから外に出たところ。路地

特にマウンテンビューは一瞬でお気に入りの場所になった。それもそのはず、マウンテンビューは、サンフランシスコの高級住宅街にあたる。集合住宅よりも昔ながらの戸建てが立っている印象。このとき、自分はまだダウンタウンには行っていないため、SFは落ち着いた街だなーと思っていた。

まる二週間の旅行なので、日本での仕事を2月前半に詰め込んだ結果、初日から体調不良だった。しかし、アメリカに来たからにはコーラとハンバーガーを食べなければ意味がない。大好きなハンバーガーを食べれば元気になるだろうと思い、最寄りのハンバーガー屋さんへ向かった。

In-N-Out burgerと出会う

最寄りと行っても、歩いて20分くらい。やっぱりアメリカは車社会だ。GoogleMapでハンバーガー屋さんを検索してみると、「In-N-Out Burger」というお店を見つけた。そこに行ってみることにした。看板は、マクドナルドの赤と黄色を使ったものとそっくりだ。アメリカにもパクリはあるんだなーと思ったが、マクドナルドも何が本物かどうかはわからない。詳しくは、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を見ればわかる。

マクドナルドの創業秘話に関する映画。面白い。

早速、ハンバーガーセットを頼んでみた。店内には、注文したハンバーガーを待っているお客さんもいたので、自分はすっかりクオリティーの低いハンバーガー屋さんなのかなと思っていた。

飲み物は大きな紙コップだけ渡されて、自分でドリンクを注ぎに行くスタイル。ハンバーガーは柔らかめなバンズでパテはステーキっぽさのない一般的なミンチパテ。ポテトは見かけは硬そうなのだが、油で重すぎるといった印象はなかった。

つまり、想像していたよりも美味しかったのだ。

In-N-Out burgerで頼んだハンバーガーセット(確か8ドルくらい)

In-N-Out Burgerについて調べてみた

気になって、In-N-Out Burgerについて調べてみたら、面白い記事が見つかった。

「新鮮」といっても、その意味は深い。すべての食材は500マイル(約800キロメートル)以内の産地から仕入れたもので、ハンバーグもフライドポテトも注文を受けてから調理する。通常のファストフードならば、紙に包まれたハンバーガーや少し前に揚げられたフライドポテトがヒートライトの下で注文を待っていたりするが、そうしたことはイン・アン・アウトでは許されない。イン・アンド・アウトには、電子レンジや冷凍庫もないのだ。

35歳で億万長者、米「ハンバーガー姫」の素顔 | 食品 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

道理で美味しかったわけだ。待っているお客さんの姿はお店が人気である証だし、待っているお客さんがイライラしていなかったのは、このハンバーガー屋さんの「新鮮さ」を理解しているし、期待していたからなんだなと思った。

2017年時点で年商は8億7000万ドル(日本円で1000億円弱である)の成長企業だった。直営店というこだわりはスターバックスコーヒーを彷彿とさせる。

引用した記事には、創業者の孫である『ハンバーガー姫』の人生についても少しだけ書かれており、いろんな大変なことがあっても企業を成長させ続けた内容は、アメリカで過ごす2週間を有意義に過ごそうという気持ちを強くしてくれた。

後日、このハンバーガー屋さんについてSF在住の方に聞いてみると、昔は白人しか雇用しないというカルチャーだったらしい。差別という点では問題であるが、こだわりという点では妥協しない姿勢を感じる。競合がいる場合、自社だけが持っている魅力の追求に妥協はしていけないんだ。

安くても惨めな気持ちにさせないファストフード

現在の社長である彼女が経営を引き継いだのは2010年。リーマンショックから2年後である。当時の景気を思い出せないが、あまり良くなかったと思う。

やや高めだけれども、新鮮で安全なファストフードハンバーガーであるイン・アンド・アウトは、景気低迷時でも順調に売り上げを伸ばしていたことで知られる。安くても惨めな気持ちにさせないファストフードは、まさに人々が求めていたものなのだ。そこには、儲けを上げるだけではなく、いい食事を提供したいという創業以来の同社の信念がこもっていると言ってもいいだろう。

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私はこの企業が提供するハンバーガーのコンセプトがめちゃくちゃカッコよくて感動した。正直、In-N-Out BurgerにはSHAKE SHACKのようなオシャレさはない。きっと、旅行中に恋人とのデートにこのお店を使ったら、恋人は喜ばないだろう。

でも、アメリカ全体が不景気に陥っているなかで、安いからと言って不健康ではない食品を提供すると決めたこのコンセプトは、アメリカ全土を豊かにするコンセプトだ。

豊かになることは、庶民が誇りを持てること

不景気になっても、つらい状況になっても、いつも食べていたハンバーガーが食べられるというのは、勇気をもらえる。賞味期限切れのどんな油であげたか分からない加工食品ばかり食べていて、もう一度頑張ろうって思えるだろうか。多分、そんなに人間のメンタルって強くないと思う。

健康的なハンバーガーを提供し続けるIn-N-Out Burgerは、庶民にとって、誇りを持てるお店だ。豊かになることは、特別に一部の人だけが得られるものを誰もが得られるようにすることだ。使ってくれるユーザーが誇りを持てるようなサービスを作ろうと強く思った。

私は今データサイエンティストとして働いて、有り難いことに市場のニーズや期待があるから、数年の実務経験で食っていけている。需要過多だからだ。

現在、日本の企業の多くは専門性の高い人材を採用する財力がない。コロナ禍でこうした企業は増加の一途をたどる。今の日本は、データ利活用やAI開発が専門性の高い領域としているが、本当の豊かさは、この領域を専門性のある特別な領域にしないことなんだと思う。

自分がお金があまりないときに、不健康じゃない食品を食べれる機会を与えてくれるIn-N-Out Burger のように、私はお金がない企業に対しても、データサイエンスプロジェクトを推進できる機会を与えたい。

DAY1の気づき・学び

  • ユーザーが理由に納得しており提供価値が勝っていれば、サービスの弱点を気にしない
  • 庶民が誇りを持てるサービスは生活だけでなく、心も豊かにする
  • 専門領域と一般領域にすることが、豊かさにつながる側面もある